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時代を映す退職予防。人事コンサルのスキルを落とし込むSaaSを開発 中原 圭介 - MOVの100人インタビュー
--まずは簡単な自己紹介をお願いします。
中原圭介(なかはら・けいすけ)と申します。2025年に37歳になります。
今は、同じMOVの中にいる株式会社kokonotsu・株式会社Latteの代表、村上亮さんの元で、採用コンサルと、人事向けSaaS事業の立ち上げ準備をしています。
--なぜ今の会社に入ったのですか?
ITベンチャーで人事をした経験から始まり、のべ8年ほど人事領域に関わっています。
最初は企業内人事で、中途採用担当者として働きました。経験を買われ、その会社が新たに人材紹介事業を始めるとき、僕が1人で担当になったのです。
ちょうどその会社の社外取締役に入っていたのが村上さんで、事業立ち上げについて相談をすることになりました。
無事に立ち上げが終わり、改めて考えてみて、人事・採用のスキルがあれば、食いっぱぐれることはないと思いました。
労働人口がどんどん少なくなり、人を採用できる会社が少なくなってくる。しかし、人がいなければ会社の売り上げが伸びない。だから「人を採れるスキル」は今後、長く使えると思ったんです。
そこで村上さんが一緒に仕事をしようと声をかけてくれて、kokonotsuと関わるようになりました。2024年には人事向けSaaS事業を行う株式会社Latteが発足し、僕も取締役に入ることになったのです。
--なぜ人事向けSaaSをつくるのですか?
村上さんの人事コンサルを近くで見て、村上さん1人しかクライアントに対応できないのでは、限界があると思いました。
そのスキルやノウハウをサービスに落とし込むことができれば、より多くの人が人事課題、採用課題にアプローチできるのではないかと構想したのです。
最初に開発されているのは予防サービスで、2025年中のリリースを予定しています。
採用よりも、今までいる社員がいなくなってしまうことのほうが、会社のダメージが大きい。まずはそこを防ぎます。
その先にあるのは、採用と、社員を成長させるタレントマネジメント領域の2つのステップです。
--退職予防について教えてください。
退職を予防するには、大きく分けて2つの要素があります。
1つは、その人に合った対応ができる人の存在です。
人によって性格も、かけられたら嬉しい言葉も違います。今までは優秀なキーマンが会社にいて、対応していたところです。
もう1つは昨今新しく出てきた視点で、「この先何を得られるのか」のイメージを見せることです。これが見えなくなると、退職につながってしまいます。
いずれにしても、早めに話し合えば、辞めない場合の方が多いと思います。何か別のことをやりたくて辞めるわけではないからです。
これまではスキルが属人化されていました。でも、「その人がいないから防げない」のでは、根本的な解決にはなりません。
退職予防はその部分をアシストします。
診断を使って人柄を分類し、言葉かけのトークスクリプトを提供すれば、適切から大きく外れることはなくなります。
日ごろの行動の変化を捉え、声をかけるタイミングを見逃さないようにすれば、話し合いができないまま辞めていく人を減らせます。
特に目に見えるサインが出にくい人については、システムによってきめ細かに判別する意義が大きいと言えるでしょう。
--退職予防の観点から見ると、リモートワークはどうですか?
自分のペースで仕事をしたいタイプの人にとっては、リモートワークは働きやすく、退職を防ぐ要素の1つになる可能性はあります。
反面、細かな行動の変化を見たり、業務後に率直に話を聞き出す機会を持ったりするのには、リモートワークは不向きです。リモート以外の接点も何かしらの形で持っておかなければ、退職を防ぐのは難しいかもしれません。
--開発中のSaaSの優位性はどこにありますか?
自己申告に頼らないところです。
本人に「やっている感」があり、キャリアや成長を描けていると同時に、会社も成長していく、その間につながりを持たせることを大切にしなければいけません。
既存のいわゆるタレントマネジメントシステムは、本人のエンゲージメントをアンケート形式で確認し、変化を追います。
僕が前に働いていたのは、「会社に行きたい度合いは何点ですか」と調査されるような会社でした。10点の気持ちでもない、でも1点をつければヒアリングになるのが分かり切っているから、7~8点を付けて出していました。
これでは本人の「やっている感」も正確には測れず、会社の成長にとって良い状態であるかどうかも分かりません。
今開発中のSaaSは、自然と現れる行動をベースに置いています。自己申告を基調にするシステムが主流になっている市場に対して、一石を投じるアプローチができると考えています。
--退職予防は今後も発展の可能性がありますか?
ケーススタディが蓄積されれば、さらに精度を上げることができます。
また、当初はIT系企業での導入が中心になりますが、順次、他の業界で使われているシステム・データにも対応し、広げていくつもりです。
業界ごとの特性を割り出し、サポートができるようになれば、すごく面白いと思いますね。
--採用コンサルが必要とされるのは、どんなときですか?
働き手が多かった時代には、個人の成長や素質に関係なく大量に採用し、仕事の方針に不安を覚える人はふるい落とすような方法がありました。
しかし、労働人口が減ると選ばれなくなり、質を下げなければ採れなくなって、売上に直結してきます。
このように、今まで採用しようとしていた種類の人を想像しながら採用を目指すと、会社自体が時代に合わなくなってしまうことがあるのです。
そこで、「今までは良かったけれど、今後何かを変えなければいけない」というフェーズが出てきます。時代に合わせていくために使わなければならなくなるのが、人事コンサルであり、採用コンサルなのです。
--今、採用コンサルの大変なところは何ですか?
「社長が考える採用の価格感、価値観」と、「実際の市場の価格感」とが、大きく乖離してしまっています。
まずそこが理解されないと、コンサルとしてできることも少なくなって、もどかしい思いをするのです。
僕の価値観ではありますが、「人がいないと始まらない」と思っています。
これまでの感覚を優先し、5人採用していたのが2人になってしまったとしますよね。すると、5年後、10年後くらいに、その3人の差が効いてくると思うんですよ。
でも、なかなか理解してもらえないことも多いです。
僕らが提供するのは、マイナスにならないようにすることで結果的にプラスにするサービスです。コスト感を理解してもらうことが、コンサルとして大変なところですね。
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