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旅行は手段、交流が目的。
ENtrance代表 王璇(WangXuan)が描く“ノーボーダー”な体験設計とは? - MOVの100人インタビュー

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--まずは簡単な自己紹介をお願いします。

ENtrance 代表の王璇(Wang Xuan ワン・シュアン)と申します。

ENtranceは、訪日観光を中心に「人と人と地域をつなぐ体験」をデザインする会社です。旅行者にはオーダーメイドのツアーを提供し、観光地や宿泊施設には海外からのお客様を迎えるためのマーケティング支援を行っています。

どちらも目的は同じ。「旅行」をきっかけに、国境を超えた出会いや学びが生まれる場を作ることです。中国を中心にアジア圏の中間富裕層のお客様が多く、家族旅行や企業研修、特別な記念旅行など、8割がリクエスト型オーダーメイドツアーで提供しています。

また、外国人旅行者へのサービス提供する大事な現場経験を元に、日本の地域や宿泊施設など企業に対して、グローバルで顧客を獲得できるように、戦略立案から、商品造成、マーケティング集客施策などまで、コミットして支援しています。

この両輪により、商品側と旅行者側の両方のニーズを深く理解し、より価値ある体験づくりを可能にしています。

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--起業に至るまでの原点を教えてください。

私がこの事業を始めた背景には、「直接の交流」への強い思いがあります。

--学生時代はどのような経験をされたのですか?

学生時代--メディアの限界に気付いたことが大きな転機でした。私は上海の大学でジャーナリズムと日本語を学び、大学院では早稲田大学へ留学しました。修士論文では、尖閣諸島問題に関する日中両国の新聞報道をテーマに研究しました。

メディアにはフレームがあります。その枠を超えた理解は、直接会って話し、同じ時間を共有しないと生まれません。

問題提起するだけではなく、「問題をしっかり解決したい」という思いが芽生えて就職活動しました。また、学生時代に参加した「ICCノーボーダーキャンプ」という国際交流イベントを通して、言葉の壁もあって友達を作りにくい留学生活が、一気に国籍に関係なく打ち解け、日本社会に溶け込むきっかけになった原体験も創業の原点となっています。

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--社会人としてのキャリアについて教えてください。

2014年、リクルート系のコンサルティング会社に入社しました。当時、外国人初採用で、日本企業特有の慣習を一から学びながら実績を積みました。この経験が私を育ててくれました。

その後、インバウンド専門のコンサルティング会社に転職し、「日本企業と海外市場をつなぐ仕事」に没頭しました。しかし「提案だけで、実行の責任は負わない」という立場に限界を感じ、起業を決意しました。

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--起業初期はどのような状況でしたか?

2019年7月、ENtranceを設立。しかしわずか半年後、世界はコロナ禍に突入します。最後のスキーツアーを開催したのは2020年1月末でした。そこからすべてのツアーが中止になり、売上はゼロに......。そこで事業をピボットすることになりました。

幸いにも創業初期で人員負担が少なく、toB事業に注力することで会社を存続。ライブ配信支援や自治体案件、PRサポートなどを展開し、事業の柱を守り抜きました。

2022年、インバウンド需要が復活すると同時に、ツアー事業を再開。 現在では、toCとtoBをバランス取りながら、事業推進をしています。

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--ENtranceのツアーづくりにはどんな特徴がありますか?

私が手がけるツアー商品は、単なる観光スケジュールではありません。「人生の1週間」をデザインし、地域を繋げる商品なんです。

例えば、家族旅行やグループであれば、「どんな思い出を持ち帰ってほしいのか」「依頼者である幹事役の人はこの旅行を通してどんなことを達成したいのか」から逆算してプランニングします。

「行程表はあくまで実行のツール。その前に、参加者にどんな会話が生まれ、どんな気づきと気持ちになるのかまでを考えて、デザインする。お客さん以上にお客さんを理解して、趣味嗜好を推測して、1週間の人生の時間をプロデュースするのが旅プランナーの仕事です」

この考え方は、学生時代のスキーキャンプを通じて得た国際交流の経験や、ファーストキャリアの組織コンサルティングの仕事で、お客さん以上にお客さんのことを知ることこそプロという体験が、いまの事業づくりにつながっています。

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--ENtranceという社名にはどんな思いが込められていますか?

ENtranceの社名には、3つの意味が込められています。

ご縁(EN)トラベル(Travel)チャンス(Chance)
「旅行を通じて、新しい出会いとご縁、気づきや発見を届けたい」

これは、ENtranceが追求するビジョンとミッションであり、ビジネスの核心でもあります。

人の交流や移動が活発に、多様になることで、相互理解につながり、最終的には平和にもつながるところだと考えています。訪日旅行市場は、しばらく安定期に入っていて、今後も2B2Cの2軸で事業を拡大していきたいです。

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