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経験を活かしてシステム開発へ アスリート支援の顔も持つ人事コンサルタント
株式会社kokonotsu 村上亮 - MOVの100人インタビュー
--まずは簡単な自己紹介をお願いします。
村上亮(むらかみ・りょう)です。会社を3つ経営しています。
1つは株式会社kokonotsuという人事コンサルの会社。2つ目は、アスリートやアーティストの支援をする一般社団法人日本人材サポート協会。そして3つ目は2024年に設立したシステム会社で、株式会社Latteといいます。
メインの仕事は人事コンサルです。社会保険労務士の資格を活かし、組織の人事制度を作るお手伝いをしています。設立から10年間で、360社ほどに携わってきました。
顧客は10人規模から3000人規模までさまざまですが、300人くらいの会社が最も多いですね。
--人事コンサルを入れる意義は何ですか?
人事業務には大きく分けて4つの分野があります。採用業務/教育/人事制度作り/給与計算・勤怠管理です。
この中で、人事制度作りが最も難しい分野です。
というのも、いったん制度ができてしまうと小さい変更で運用していくため、現場の社員にゼロからの作成や大きな変更の経験者が生まれにくいのです。
そこで、私のようなプロに依頼がやってきます。
--人事制度は、どのくらいの規模から作るべきですか?
社員数によって、いくつかの「壁」があると言われています。その最初の段階が30人です。
30人以上になると、社長が「誰が何の仕事をしているか」を把握できなくなります。自分の下に部長職や他の役員を置いて、階層を作り、組織化します。
したがって、最初に人事制度を作るのは30人くらいがめやすと言えるでしょう。
--人事制度作りでの腕の見せ所はどこですか?
個々の会社に合わせたものをオーダーメイドで作るところです。
成長期にあるか衰退期にあるか、社長の運営方針、ビジネスモデル。複数の状況を勘案し、ちょうど服をあつらえるように制度を作っていきます。
新規契約が売上に直結する会社と、運用で儲かる会社とは、賃金の払い方も福利厚生も全く違いますよね。他社のエースを引き抜きたいのか、ほどほどの人に長く勤めてほしいのかでも、また違います。
しかも私の顧客は、成長を控えたベンチャー企業が多いです。これは例えると、小学生から高校生までの、体型が大きく変わる時期に相当します。成長期には成長期に合わせた、大人の服とは違った服が必要になりますよね。
トータルで考え、その会社に1番良いものを作っていくのは、やはりプロでないとできないことだと思います。
--なぜ人事コンサルの道に入ったのですか?
私は2025年に50歳になります。
30歳までは営業職をしていて、たまたま部署移動で人事に携わることになったのです。
その後、いくつかの会社で人事部長を経験し、2014年の終わりに独立して、2015年に会社を設立しました。
--2つ目の社団法人について教えてください。
一般社団法人日本人材サポート協会は、ジュニアオリンピックに出場するような、才能ある若手のアスリート・アーティストを支援する団体です。
遠征などの費用は強化費で賄えず、保護者の負担になってしまいます。特にマイナー競技ではその傾向が強いです。
しかし、選手はなかなか自分でスポンサーを見つけることができず、反対にスポンサー活動をしたい会社が個人の選手を見つけるのも困難です。そこで、ハブになる団体を運営しています。
私自身、大学まで熱心に野球をやってきて、周囲にスポーツ仲間も多かったのです。いろいろな競技で困っている人がいることを知り、自分たちでやれば良いのではないかと思って始めました。
その後、関連分野の会社に関わったことがきっかけで、アーティストにも門戸を広げて運営しています。
--3つ目のシステム会社は、なぜ新たに立ち上げたのですか?
人事系のSaaSを開発中です。kokonotsu監修として、コンサル経験を活かして作っています。
ブランディングをコンサルとは別の形にしようと考えているので、別会社として立ち上げました。
--そのSaaSでは何ができますか?
オーナーシップが強いベンチャー企業では、組織マネジメントに課題を抱えていることが多いです。
ピラミッドになるはずが、「オーナーとその他大勢」になってしまう。あるいは、オーナー自身が階層を飛び越えて直接指示を出してしまう。
結果としてマネジメント層が育たず、オーナーは「自分の意思が末端まで伝わっていない」と感じるのです。
開発中のSaaSは、「社長の意思を末端まで伝える」ため、マネージャーが見るカンペのようなものです。
ここには、会社のミッション・バリュー・ビジョン、個人の勤怠データやSlackのアクティビティ動向、マネージャーと従業員双方の性格診断テストの結果までがインプットされます。
それらのデータをもとに、個別のマネージャーが個別の従業員にどんな言葉かけやアプローチを行えば良いか表示するのです。
さらに、勤怠データとSlackなどのツールのアクティビティ状況から退職予兆を診断し、管理職や経営陣にアラートが届きます。
この予兆診断は、同意を得たkokonotsuの顧客企業データで検証し、相当の正確性が確認されています。
既存ツールと違い、自己申告ではなく自然なアクティビティを利用するため、ごまかしにくく、高い精度で退職予兆を判別することができるのです。
--システムはいつ、どのように発売されますか?
ローンチは2025年9月下旬の予定です。
9月10日に私の本が発売され、「この本を書いた人が作ったツール」としてマーケティングできるからです。
最初はベンチャー経営者をターゲットに展開します。「ミドルマネジメントをうまく利用して、社長の考えを末端まで伝えられるツール」として訴求するつもりです。
それがうまくいったら、今度は学校に向けたマーケティングを行いたいです。
私は学校の理事もいくつか引き受けています。学校の先生は先生の経験しかなく、一般の社会人としてのアドバイスがなかなかできません。
そこで、就職を視野に入れた進路相談が行われる、中学高校、専門学校などで、面談のアシスタントツールとして導入してもらいたいと考えているのです。
--MOVはどのように利用していますか?
ヒカリエ内の会社に関わったことがあり、MOVのことは以前から知っていました。2024年にシステム会社を立ち上げるにあたって、登録しました。
kokonotsuでは複数のエリアでシェアオフィスを借りて、社員は各自の便利なところで仕事をしています。
私は渋谷近辺のIT系企業の顧客が多いので、MOVで仕事をしていることが多いですね。
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