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「数字力」を身に着ける。大人のための数学教室のパイオニア。
和から株式会社 堀口智之 - MOVの100人インタビュー

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--まずは簡単な自己紹介をお願いします。

堀口智之(ほりぐち・ともゆき)と申します。2010年に、大人のための数学教室『和から』というものを立ち上げました。

最初はいわゆる数学がメインでしたが、今は生成AIや、10年以上前からは統計学など、世の中のキーワードになるような「数学ベース」のテーマも扱っています。

個人向けのサービスも行いながら、企業様、大学様との事業や講演活動なども行っていて、プロフェッショナルの講師は30人超です。

また現在も、毎月数十個単位で、新しいセミナーやコンテンツを展開しています。

--数学教室を始めたのはなぜですか?

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大学は山形県で、物理学科でした。途中で社会のことを知りたいと思って、しばらく休学してあちこちで働いていました。

ベンチャー企業で働かせてもらったこともあります。学生団体を立ち上げてNPOと協働もしました。アルバイトも含め、20種類もの職種を経験したことになります。

しかし、それだけの職種を経験していても、面白いと思えるような仕事には出会えていませんでした。

やはり大学は卒業しようと2年遅れの24歳で卒業し、横浜に出てきたものの、引き続き定職には就いていなかったときです。テレビで数学の学び直しが流行っていると見かけ、調べてみたら市場があるかもしれないと分かりました。

というのも、本はよく売れていたのですが、専門の塾がなかったのです。子どもと一緒に大人も入れるような場所はありましたが、やはりそれでは恥ずかしい気持ちもあるでしょう。

大人が数学を学び直せる、塾形式の場所があったら良いのではないか。そう思って、2010年、スモールスタートで事業を始めました。

--スモールスタートから現在までの経緯を教えてください。

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立ち上げ当時、自己資金は大体10万円。親にプレゼンして何とか貸してもらえたのが10万円。それに弟が出資してくれた3万円を足して、資金は23万円しかありませんでした。

まずは自分でホームページを作りました。それから「検索で上位に表示されることがすべてだ」と思い、SEOを独学で勉強して、地道な努力をくり返しました。

その結果、検索順位1位、2位を獲得できるようになるとお客さんが少しずつ入るようになって、4か月目には黒字化することができたのです。当時はコストを抑えるためにカフェで教えていました。

8か月か9か月くらい経つと、私1人ではもう対応しきれないくらいのお客さんが来てくれて、講師の募集を決めました。一気に来た応募は、教授や何冊も本を書いている人のような、能力の高い人たちからのものでした。

世の中に数学を教えたい人はたくさんいます。でも、カリキュラム通りに教えなければいけない子供向け学習塾の仕事は、面白くないと感じる人も多いのです。そこで「あなたの好きな数学を教えられます」という売り文句で出したのが、応募が殺到した理由でした。

このときに、さすがに教える場所が必要だと、シェアオフィスも契約しました。

開始から1年3か月後の2011年3月には会社化を果たし、4月から正社員も雇いました。東日本大震災で3月にはお客さんが減って冷や汗をかきましたが、1か月ほどで戻ったので助かりましたね。

講師に任せる方法もうまくいって拡大が続き、2014年には自社の教室を持つに至りました。最大で5教室くらい展開していましたが、コロナ禍でオンライン化に踏み切り、今は売上の半分以上がオンラインになっています。

--数学を学びたい大人とははどんな方ですか?

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プログラミングや生成AI、統計学のような分野を仕事で役立てたいという方がほとんどです。たまに資格対策や、もう一度大学受験をしたい方、趣味で学びたい、苦手意識を克服したいという方もいます。

文系・理系で言えば、メインターゲットは文系の方です。弊社では、数字にコンプレックスを持つ人、数字に弱い人に向けた、数学を使わなくても実務で役立てられるようなプログラムを多く提供しています。実務×数字に特化したプログラムは、世の中にほとんどありません。

--数字に弱いということについて、詳しく教えてください。

堀口さんのYouTubeチャンネル『大人の数トレチャンネル』より

「数字に弱い」とは、数字と物事が紐づいていないということです。

たとえば身長が18mか1.8mかと言われたら、どちらが正しいかすぐに分かります。でも、GDPが4兆円か400兆円かと聞かれると現実味がなく、判断できないのです。

これに対して経営者が会社の数字を見て一喜一憂するのは、数字と経営上の物事、そして感情とが、一気通貫に結びついているからなんですね。

弊社では、この「数字・物事・感情」が結びつく力を「数字力」と呼んでいます。数字力を身に着けて物事の見え方・考え方が変わる瞬間というのは、人生において本当に愛おしい瞬間です。

しかし、数字力は数学の問題が解ける学力とは別で、学校でもあまり習いません。だからこそ、教えるのも難易度が高い、クリエイティブな作業です。

数字力の講座が企業から人気で、また最近では子どもたちに対しての講座も依頼されるのは、やはりそういう、重要かつ教えるのが難しい、というところにあるのだと思いますね。

--仕事以外の活動について教えてください。

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高校時代に陸上部だったこともあり、今も時々走っています。

でも、実は高校時代の種目は「競歩」です。花形ではなく、陸上部の中でも成績が奮わない人が行く種目でした。

私も最初は人数調整で割り振られたのですが、たまたま大会で2位になったことで努力を始め、県1位にまでなりました。速く走る才能がなくても努力すれば1位になれるのは、夢があるなあと感じましたね。

今の数学教室につながる「ニッチ市場では勝ちやすい」ということを、競歩を通じて肌で学んだと思います。

--今後はどのような活動をしたいですか?

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堀口さんの新刊『1杯目のビールが美味しい理由を数学的に証明してみました。』--幻冬舎さんより引用

今年は本を書くことに力を入れています。

私はお客さんの喜ぶ姿が見えるような仕事にやりがいを感じます。それに「世の中の多くの人に伝えられる」という意味でも、執筆は影響力があり楽しい仕事だと感じています。

昨年4冊出版し、今年も年末までに計4冊を上梓する予定です。「なぜこういう本がないんだろう」という不満があり、皆に新たな発見をもたらすチャレンジするような本を出したいですね。

--MOVはいつから利用していますか?

2020年のオンライン化で教室をいくつかなくしたときからです。企業研修などの打ち合わせも増えてきて、打合せがしやすい場所が必要だということで、契約しました。

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