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プロフェッショナルとは、予期せぬトラブルに微笑む人のこと
日本に住んで30年のカナダ人写真家 モーリン・スティーヴン - MOVの100人インタビュー

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--まずは簡単な自己紹介をお願いします。

モーリン・スティーヴン、カナダ人です。1993年にワーキングホリデービザで来日しました。妹と一緒に東京で暮らし始めましたが、彼女は1ヶ月ほどで帰国。私はそのまま日本に残り、結婚して家庭を築きました。日本での生活も気づけば30年以上になります。

--これまでのキャリアについて教えてください。

英語教師、カメラマン、そして金融サービス業と、複数の分野で経験を積んできました。

金融分野では、在庫や設備などの資産を担保にした「アセット・ベースド・レンディング(ABL)」の重要性を業界に伝える役割を担いました。

これは企業が所有する在庫や設備などの資産を担保に資金を調達する仕組みで、日本ではまだ馴染みが薄かった時期から、その重要性や活用法について伝えていったんです。

英語教師やカメラマンとして培った「伝える力」を活かし、複雑な金融商品をわかりやすく説明することで、クライアントや同僚との信頼関係を築いてきました。この経験は現在のマーケティングやビジネス展開にも大きく役立っています。

--写真家としての仕事についても教えてください。

写真は来日当初からのライフワークです。ファッションやポートレートから始まり、過去にはバンクーバーの企業と契約して、商品撮影や広告用写真、またNetflixやSalesforceといった企業向けの映像制作なども手がけています。

クライアントとの信頼関係を重視し、事前のコミュニケーションを丁寧に行うことで、撮影の目的や世界観をしっかり共有するようにしています。

--写真の仕事はどのような依頼があるのですか?

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カメラマンとしては、広告や営業関連の案件を多く担当してきました。採用活動に関わる写真を撮ったこともあります。

どちらかというと、ビジネスの場面で求められる写真が得意です。ウィスキーの会社、文房具メーカー、財布ブランドなど、様々な製品の商用写真も守備範囲です。

ヤマザキのウィスキーの写真も担当しました。黒地に金文字のラベルのものです。撮影中に黒猫が現れて、ちょうどいいタイミングで写ってくれたのがラッキーでした。食べ物や飲み物の撮影など、専門に特化する人もいますが、私は幅広くいろんな依頼を受けています。建築会社や雑誌の仕事などもあります。

写真の技術は昔から得意でしたし、興味がありました。若い頃はフィルムカメラしかなかったから、マニュアル設定などを自分でやっていました。写真で初めてお金をいただいたのは20代の頃ですが、日本に来てからもそれがずっと続いていますね。

--アマチュアとプロの違いは何だと思いますか。

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大きな違いは「トラブル対応力」ですね。天候や機材トラブルなど、予期せぬ事態にも冷静に対応できることがプロとしての必須条件です。

また、だいたいの人はカメラを向けられると緊張しがちですが、私は会話を通じて自然な笑顔を引き出すのが得意です。

「今は5割の笑顔ですね」など、具体的に伝えながら進めると、リラックスしてもらえます。

--ご家族についても少し教えてください。

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10歳になる娘は東京で生まれ育ち、日本語と英語のバイリンガルです。

家庭では英語で会話していますが、日本の公立小学校に通っているため、日本文化にも自然に馴染んでいます。

将来的には、娘が大学に進学する頃にカナダへ戻ることも視野に入れています。

--日本の物価の高騰についてどう思いますか?

30年間ずっとデフレだったのが急に変わって、情報も追いつかなくてちょっと混乱はしますが、インフレが進むのも悪くはないかもしれません。経済全体にとっては必要なことで、最終的には良くなるかもしれないけれど、今のところはまだわからないですね。

2004年にアメリカに行ったときは、アメリカの方が洋服とか靴とか何でも安かったです。でもこの10〜15年で、だいぶ変わりましたよね。ただ、日本のコンビニエンスストアの品質は、他国と比べて非常に高いと思います。

日本が便利すぎて、カナダに帰ると、「あれがないな、これがないな」と思ってしまいます。品揃えは日本のコンビニが圧倒的だし、日本は公共交通も便利です。電車なんて2分おきに来るから、車も持っていません。若い時は、私もバイクや車に乗ってたけれど、日本に来てからは一度も買っていませんね。

--日本の教育についてはどう思いますか?

日本の教育って、ユニークですよね。子どもたちは教室の掃除とか、給食の配膳なども学んでいるけれど、他の国ではなかなか見ません。

どの国がいいかは一概には言えなくて、それぞれですよね。日本はこういう良さがあって、カナダはまた別の良さがある。どっちが上とかではなくて、単に違うだけだと思います。文化も人もそれぞれですから。自分にとっては、日本はとても居心地が良くて、快適に暮らせています。

--最近、注目している分野はありますか?

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東京の中古カメラ市場ですね。バブル期に購入された高品質なカメラが今、遺族や家族の手で市場に出回ってきています。長年写真に関わってきた身として、その価値や背景に強く惹かれますし、ビジネスとしての可能性も感じています。

--MOVはどのように利用していますか?

MOVの会員になったきっかけは、立地が1番ですね。都会の喧騒から離れて、落ち着いて作業ができるので、とても気に入っています。

雰囲気も好きですし、利用するメンバー同士がお互いを思いやっていると思います。全体的にポジティブで、快適に効率よく仕事ができる空間だと感じています。

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