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美しい仕事だけを選ぶ。
3児の母であり、3社の代表である私の選択基準 翠川 裕美 - MOVの100人インタビュー

--まずは簡単な自己紹介をお願いします。
翠川(寺島)裕美(みどりかわ・ひろみ)です。3つの会社の運営をしつつ、さらにそれ以外に他人の会社の手伝いもしています。
新卒でスープストックトーキョーを運営していた株式会社スマイルズに入社し、その後、株式会社イデー(現在は株式会社良品計画に統合)というライフスタイルブランドの会社に転職しました。SNSの立ち上げ、ECショップのリニューアルなどに携わり、独立して、2015年に設立したのが販促会社の株式会社シロアナです。
シロアナでは、イデー勤務のときに出会った夫が設計やまちづくりに関わる部分を担い、その後のウェブ作成、SNS周りのコンサルティング、PRまでを私が行っています。
その業務を行う中で、ECサイトを作れるサービスの需要を感じました。まだShopifyのようなサービスが上陸していなかったときです。
そこで2016年に株式会社モンキーブレッドを設立し、中小規模のブランドや作家さんがサポートを受けながらECサイトを作れるサービス「KATALOKooo(カタロクー)」をリリースしたのです。
KATALOKoooは今、200組ほどのブランドが利用しています。もちろんこれらの利用ブランドには今後も伴走していくつもりです。しかし、時代が移り変わる中で、このサービスで続けていくのは難しいことも感じています。次は何かなと考えて、思いついたのが人材でした。
人材の仕事のために3社目を立ち上げ、今、事業準備を進めているところです。
--人材の仕事とは、どのような仕事ですか?

コンサルティングの一環で、中小規模小売りブランドのDX支援もしています。そのときに最も困るのが、人材面です。
コミュニケーション能力があって、現場ともやり取りでき、マネージャーの言うこともうまく汲み取って動いて「いい感じにする」ことができる人材。どこに行っても「そういう人はいないか」と聞かれます。
私はこういう人材を「風を良くする人」とも呼んでいます。張りつめた空気のチームと楽しそうなチームがいるとき、楽しそうなチームにいる、そのチームの風をコントロールしている人です。
「いい感じの人」「風を良くする人」と、天才肌の経営者が組めば、大きなイノベーションを起こすことがあります。
でも、こういう人たちの役割には、一言で呼べるような名前がありません。しかも「いい感じ」であるほど控えめで、自分から名乗り出てくれません。探すのがとても難しい人材です。
私はこういう人たちをうまくマッチングさせたいと考えています。
自分自身も今「いい感じにする仕事」をしていて、そういう人たちのコミュニティを作りたいと、前から思っていました。周りに天才肌の人も多く、マッチング先は豊富にあります。会社員時代に大量の採用面接も経験して、人の性質を見抜く力にも自信があります。
まずは、身近な天才肌の人に頼んで、動画を撮る企画を行うつもりです。「今までチームで一緒に働いた人で、どんな人材が良かった、助けてくれたと思う?」というテーマで、1杯飲み切る前に話してもらう動画です。
40~50人分のデータが集まったら、マッチングを始めたいです。マッチングされる側の人材にも「こういう人が求められている」とナマの声を聴かせることで、「こういう人と働きたい」とか「私、助けになれるかも」と思ってほしいですね。
--動画で、どのような発言が出てくると思いますか?
ありがちな予想できる回答ではなく、「やっぱ飯食うのが早いやつが好きだった」くらい、わけが分からないことを言ってほしいですね。そういうことを言う人は絶対にいると思って、期待しています。
そんなわけが分からない発言にもその人らしさは出ます。それに、「そういえばこういう人が好きだったな」という振り返りを通して社長の顔が見えるのは、会社の採用全般にとっても役に立つでしょう。
--事業への支援やジョインの可否を決めるポイントは何ですか?

美しいかどうかですね。美学があること。ズルや搾取には加担したくないと思います。
中小規模のブランドや作家を支援したいと思ったのも、「自分が作ったもので誰かを喜ばせて生きていきたい」「作ることしかできないけれど、誰かを喜ばせることができたら嬉しい」という純粋な気持ちを持っている人たちだったからです。
その人なりの美学があって、その美学が美しいと思えたら手伝います。
その信念があるからか、「なんでもいいから業界1位になりたい」というような、私の美学とズレた目標の方からは、提案段階で向こうから切られることが多いですね。
以前は、来たものは何でも受けていました。変わったのは、子どもが生まれてからです。育児もあって、選ばないと物理的にできなくなってきたので、仕事を選ぶようになりました。
--趣味は何ですか?

子育てです。子どもたちをいい感じに育てることに注力しています。
仕事が死ぬほど好きで、しすぎてしまうタイプなので、3人の子どもがいることで仕事のしすぎを止められて、寿命が延びている気がします。
3人の子のうち、2番目の10歳の子が生まれてすぐ、葉山に引っ越してきました。葉山には、海や山に連れて行ってくれる学童があると聞いたからです。広々としていて、うるさいと言われることもなくて、子育て環境としてはとても良い場所だと思っています。
--今後、やりたいことは何ですか?

休暇の一コマ、ではなく、撮影のあいまに身体を冷やしているところだそうです
80歳まで仕事をしたいです。
知り合いに82歳の人がいて、会うたびに「俺はもう来月引退だから」と言って、引退後の経営の見通しを話してくれます。
82歳でこんなに頭が回っていて、新しいことに興味があって、常にいろいろなことを考えているのはすごいなと思います。
そういう風に頭の回転をキープしたまま、80歳まで仕事を続けるのが、人生の目標です。
--MOVはどのように利用していますか?

独立する前、ヒカリエができたときに、ヒカリエ内にできたイデーの店舗の立ち上げに関わりました。しかも、同じヒカリエのテナントであるMOVの立ち上げ時のスタッフの中に、大学の同級生がいたのです。それもあって、独立したとき、登録することにしました。
葉山からは、逗子に出れば渋谷まで電車で1本です。週3回くらいは仕事で東京に来ていています。MOVはオンラインミーティングや充電のために利用しています。
攻撃的な人がいない、居つかないのが良いですね。個性的ではあるけれど、いい人が多いと思います。
MOVで出会った人に英語のコーチングをしてもらったり、サイトのコーディングを頼んだりと、仕事のつながりはできています。
今度の人材の事業でも、MOVの人とマッチングしたり、コミュニケーションについてインタビューしたりできればいいなと、今、話していて思いました。
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