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映像は誰でも作れる。でもプロにしかできないことがある。
合同会社セクションナイン 靍田 和生 - MOVの100人インタビュー

--まずは簡単な自己紹介をお願いします。
靍田和生(つるた・かずお)と申します。映像全般を扱う仕事をしています。
23〜24歳の頃から映像業界に入りました。最初はブライダル系の映像会社に転職し、偶然にも当時人気だったアイドルグループのプロジェクトに携わる機会に恵まれました。このプロジェクトを通じて、編集作業だけでなくカメラやディレクションといった現場での経験も積むことができました。
その後、2013年に自身の映像制作会社、合同会社セクションナインを立ち上げました。大手企業やMOVをはじめ、様々な法人の映像制作を手がけてきました。案件の規模に応じて、ひとりですべて行うこともあれば、必要に応じてディレクターやカメラマンを集めてチームで取り組む場合もあります。
--ネット配信や動画サイトが台頭して、映像業界にはどんな変化がありましたか?
最近はショート動画の案件が増えています。昔は2週間、3週間と時間をかける案件が当たり前でしたが、今はプロのスキルと素材があれば、数時間から数日で仕上げる案件も少なくありません。
また、営業の一環として、訪問先の企業のイメージショート動画を事前に制作し、提案することもあります。これがきっかけで信頼を得て、大きな仕事につながることも増えました。もちろん大きな仕事も引き続き存在はしており、地方自治体からの案件や、大企業のプロモーション映像なども制作しています。
--制作にあたり、AIは活用していますか?

最近ではAIボイスを活用する機会が増えました。プロのナレーターを使う場合、スタジオ費や人件費が10万円近くかかりますが、予算の限られたショート動画などではコスト面から難しいこともあります。そういった時にAI音声が重宝します。
また、映像作品そのものをAIで制作することはまだありませんが、映像内で使用する素材をAIで作成することもあります。業界向けの素材サイトでも簡単な動画生成機能が付くようになってきました。
それでもAIには限界があり、クライアントの意図やニュアンスを汲み取って表現するのは人間でないと難しい。だからこそ自分も今後さらにAIを学び、適切な活用方法を模索していく必要があると感じています。
--誰でも映像を作れる時代、プロとアマチュアの違いはどこにありますか?
靍田さんに制作いただいたMOVのPVがこちら!
一番は機材です。カメラ、マイクひとつ取っても品質はまったく違います。最近のiPhoneの画質は驚くほど良く、サブカメラとして使うこともありますが、やはり本格的な映像制作となると専用機材が欠かせません。
また、プロとアマチュアの大きな違いは「お客様の要望をどこまで具体的に形にできるか」だと思います。アマチュアは「自分が作りたいもの」を自由に作れますが、プロは「相手が求めるもの」を丁寧に引き出し、それを実現しなければなりません。クライアントと何度も打ち合わせし、理想の映像を探り続ける地道な作業が必要です。
ただし、最近はYouTubeのアマチュア動画のスタイルもひとつのデザインとして定着しました。クライアントから「いかにもYouTuberっぽい雰囲気で」とオーダーされることも増えています。その場合でもプロの視点でクオリティを保つことが大事です。
--仕事以外の時間はどのように過ごしていますか?
仕事が趣味になっているので改めて考えると難しいですが、健康のためにスポーツジムには通っています。体力維持は撮影現場でも必要なので、意識して継続しています。
また、地域のボランティア活動も行っています。子どもの通う学校では、運動会などの行事をインターネット配信しています。コロナ禍で来場制限ができた時にスタートした取り組みですが、今では遠方に住む祖父母も楽しみにしてくれるコンテンツとして定着しました。
この配信で、私はもともとはその日限りのカメラマンとして参加したのですが、ほかの保護者の方から「映像に躍動感がある」「今までと違う」と好評を得て、学校行事や地域イベントの撮影を頼まれるようになりました。そこで仲良くなったお父さんに仕事の依頼をいただいたこともあり、地域活動と仕事が自然に結びついていると感じます。楽しいですね。
--今後挑戦したいことはありますか?

ロンドンで仕事をする機会が持てたらと考えています。若い頃、2年3ヶ月ほどロンドンに語学留学していた経験があり、その時の思い出が今も心に残っています。
専門学校を卒業した後、しばらくアルバイトをしてお金を稼いでいたときに、幼なじみが留学中だと知って「自分も行ってみよう」くらいの気持ちで渡英しました。最初は1年のつもりでしたが、楽しくて滞在期間を延長し、最終的に2年以上暮らしましたね。
今も「また行きたい」という思いはあるのですが、仕事やビザの問題があり簡単ではありません。ただ、1年のうち1ヶ月でもロンドンで仕事ができたら最高ですね。住みたいというほどではないけれど、「第二の拠点」として活動できれば理想です。
--MOVはどのように活用していますか?
オープンから1年後くらいに入会しました。
他のコワーキングスペースと比べても料金が手頃で、雰囲気がアットホーム。昔からの知人もいて、イベントでも新しい出会いがあり、とても居心地が良い場所です。
普段の仕事は自宅やカフェで行うことも多いですが、集中したい時や本格的な編集作業をする時はMOVに来ます。音や人の気配がほどよく、仕事のスイッチが入る空間だと感じています。
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