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店舗をつくる男、ひれカツを揚げる男。
アパレルVMDから"カツ"の現場まで 簗瀬 大輔の二刀流 - MOVの100人インタビュー

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--まずは簡単な自己紹介をお願いします。

簗瀬大輔(やなせ・だいすけ)、1974年生まれです。株式会社ストラテという、店づくりの会社の代表取締役をしています。

前職は、アパレルメーカーの株式会社ワールドに20年くらい勤めていました。VMD(ヴィジュアルマーチャンダイザー)という店舗づくりの視覚面を担う専門職からスタートし、ブランド全体をプロデュースする仕事につきました。

リーマンショックや外資系の流入、アパレル不況の中で進退を考えて、2016年に独立し、設立したのが株式会社ストラテです。今はアパレルに限らず、幅広い分野で仕事をしています。

--店舗づくりではどのような業務が多いですか?

会社として最も大きな仕事は、ブランドの立ち上げから関わって、ブランド名、ロゴデザイン、インテリア、アプリケーションなどを考えていく仕事です。でも、そこまで始めから関われる仕事はなかなかなく、既存ブランドや店舗にテコ入れするような仕事が多いですね。

自分自身が、時代遅れだなと感じてはいますが、やはり僕の強みはオフラインです。前職の経験のおかげで、レディース、メンズ、キッズ、雑貨、ジュエリーなど、守備範囲が広いので、多方面からお声をかけていただいています。

他の分野の専門家と一緒に1つのブランドを作ることも多いです。オンラインやCRMの方々とセッションしながら立ち上げ支援やリブランディングを行なっています。

--仕事で意識していることは何ですか?

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プロダクトのストーリーを、時間をかけて聞くことです。

長く残るブランドには、ものが良い、こだわりがあるという共通点があります。僕もそこをきちんと聞いて、それを表現する提案を出すのが、最大のポイントです。

時には海外のディレクターのところに行って、何日か寝食をともにしながら、価値観を共有していくこともあります。

こだわり・価値観を知るには、自分自身がトレンドやアートに関するインプットをして、即応できる感度を持っておかなければなりません。年をとって感度が落ちてしまったらどうしよう、5年後もこの仕事を続けることができているだろうか、という危機感は、いつもありますね。

--ものの良さに着目するエピソードを教えてください。

実は、株式会社ストラテでひれカツ屋の経営もしています。実家が、地元横須賀で80年近く営業している「ひれカツやなせ支店」です。

リーマンショックやコロナ禍で多くのアパレルブランドがなくなるのを目の当たりにして、これで良いのかと思う気持ちがありました。そこで、身近にある「いちばんものづくりをちゃんとしているブランド」はどこだろうと考えたら、自分の父だったんですよ。

ものをちゃんと作っているところに生き残ってほしい、生き残るはずだという気持ちから、2020年、父の飲食店を事業継承しました。両親と妻に従業員として入ってもらい、家族経営で事業を回しています。僕も土曜日には店に出ています。

これも、ものにこだわる、ブランドを大事にするという軸では、アパレルの店舗づくりと同じ話なのです。

--仕事以外ではどのような活動をしていますか?

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大学生になった息子が、僕も大学生のときにしていたラクロスを始めたので、嬉しくて親子でするようになったところです。でもこの間、先輩風を吹かせていたらアキレス腱を切ってしまって、カッコ悪かったですね。

ラクロス部はほとんど大学にしかありません。スタートは皆一緒です。自分で学ぶ姿勢を持っていなければ、教えてくれる人も少なく、マニュアルもないのです。

僕はそのインディーズ感が好きです。マイナーで、自分で調べていかなければいけないところは、VMDの仕事とも似たところがあります。

--店舗づくりについて、変化したと感じる点は何ですか?

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2000年代後半から10年代前半くらいまでは、成功しているアメリカのショップに視察に行き、写真を撮ってまねをするだけでも通用しました。

今は、店舗の見た目だけではなく、町の中での立ち位置や、店舗全体のアトモスフィー、スタッフの立ち振る舞いなどの総合的な体験価値が重要になっています。

だからこそ、いろいろな場所での「体験」を体の中にそのまま取り込んで、オリジナルの組み合わせを生み出せる力が問われていると感じます。難しいですが、めちゃくちゃ楽しいですね。

--これまで視察などで訪れた中で、好きな場所はどこですか?

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90年代、アメリカに短期留学に行ったときに寄ったポートランドが大好きでした。空気が気持ちよく、食べ物がおいしくて、ほどよく地方で、かつ、一通りのものは、揃ってる。

妻の実家が札幌で、少しポートランドに似ていると思っていました。先日、ストックホルムに行ったのですが、ここもポートランドに雰囲気が似ていて、本当に驚いたところです。空気がよく、食べ物が素晴らしいのも同じでした。北海道育ちの妻や息子はこのような都市が、大変好きなようでした。

--今後、どのようなことをしたいですか?

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店舗だけに限らない場づくりの仕事が増えて来ていて、もっとやりたいと思っています。

きっかけは以前から付き合いのあるデサント社のオフィス改装を頼まれたことで、社内に撮影スタジオや、商品を店舗に並べる前にシュミレーションできるショールームを作りました。

今は鹿児島のぶり養殖会社のオフィスづくりを引き受けています。社長とのディスカッション、社員アンケートなどを行い、養殖をした後の調理段階にアプローチするプロダクトが弱いということが分かってきました。そこで、オフィス内にテストキッチンを作ることにしたのです。

社員がプロダクト研究に利用しても良いし、イベントを行ったり、近隣の小学生や住民を招いたりと、地域とつながりを持つこともできます。動画配信ができる設備にしようという声も出てきました。そうした活動を地方の会社が行うインパクトは大きく、採用にもつながります。

店舗は売るためのものでした。でも今、実店舗では売れなくなり、売らないでどう触らせるか、興味を持たせるかが課題になっています。さらにその先には、まず人が出入りする空間とは何か、という問いがあります。これからはその視点で、店舗以外の場づくりにも積極的に関わっていきたいです。

--MOVとはどのような関わりですか?

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会社員だった2012年、友人が立ち上げに関わっていたので、レセプションでMOVを訪問しました。最初に見たときは、こんな働き方があるのかと衝撃でした。当時は、まさか自分が独立してここに入るとは、思ってもいませんでした。

MOVは間違いなく、シェアオフィス文化の先駆者の1つです。

MOV市では、ひれカツ屋の事業を活かし、カツサンドやカツカレーを出しています。見かけたときは、ぜひお声がけください!!

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