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控えめにいって最高な放送サービス『moodmaker』でBGMをアップデート 10周年10アップデート#09
好きな音楽を選びたい、曜日や時間によって自動で変えたい、複数店舗で楽曲を揃えたい、曲の合間にお知らせを挟みたい、これらの要望がぜんぶ叶うとしたら、それはもう「放送局」ですよね。『moodmaker』はまさに、自分たちが放送局になれちゃうサービスなんです。
開発されたのは、ハッピーコンピューター株式会社さん。代表の平田さんとCTOの白川さんに、サービスの特徴や開発理念についてお話を伺いました。
開発の基準は、自分たちがつくる意味があるかどうか
ハッピーコンピューターの企業理念
事業の始まりは、世の中のITに関するお困りごとを解決していくこと、だそうですね。サービスやプロダクトをインハウスで開発するときの基準などはありますか?
世の中の解決されない問題って、それぞれ独自の問題ってことはあんまりないんですね。例えば、みなさんお使いのExcel。「なんで同時に編集できないんだろう」と思っている方は、日本にまだ100万人以上いそうな気がしますけど、スプレッドシートとかOffice365をご存知ないってパターンもあるわけです。この場合は誰かがデリバリーすれば解決します。
なるほど、知らないだけのパターン。
まったくなければつくろう、なんですがその場合は私たちがやる意味のあるもの、私たちの得意分野が活きるものをコンセプトにしています。あとは継続できる規模かどうか。ここは最初の段階でかなり検討しますね。
複数のプロダクトを組み合わせれば解決できる問題もあったりします。僕らのプロダクトは発明の集大成みたいなものではなくて、すでにある技術を応用したり組み合わせたりして、成り立ってる部分が多いんです。
いろんな構造をご存知だからこそできることですよね。
それは、そうかもしれないですね。
そうやっていろんな方の悩みに即したものをつくってきて、できあがったのが『moodmaker』なんですね。
『moodmaker』のここがすごい①
著作権を気にしなくていい
では、さっそく『moodmaker』の特徴について伺っていきます。
店舗などでBGMを流す方法でイメージしやすいのは有線放送ですね。あとはCDなどの音源を自分たちで流すという方法。『moodmaker』ができるまでは、事実上この2つの方法しかなく、そこには課題があったんですね。
まず有線放送は、気に入った曲で構成したり、このチャンネルのこの曲だけ外したい、といったカスタマイズが難しいですよね。
じゃあ自分のCDなどを再生しようと思うと実はこっちの方が茨の道で。かけ替えの手間もありますし、一番重要なことは、音楽著作権協会(JASRAC)さんに演奏料を払う契約を自分たちで結ばないといけないことなんですよ。ご存知の方少ないかもしれませんが、生演奏も対象なんです。
生演奏もですか?
そう、なので演奏していなくても演奏できる状態でピアノが置いてあったら、契約しないといけないんです。
ええ~!知らない人は知らないですよね。
そうなんですよ。でも『moodmaker』は、私たちが音楽著作権契約を結んでいますので、『moodmaker』のプレーヤーで音楽を流していただく分には、JASRACさんとのご契約は必要ない。
めちゃめちゃありがたい。
手続き大変でした。笑。
平田 雄紀|YUUKI HIRATA
国内最大手SIer(システムインテグレーター)と呼ばれる、官庁や金融機関のシステムを手掛ける超お堅い企業で、エンジニアとしてキャリアを積み、地元大阪にて独立。さまざまな知識を活かし、中小企業のITコンサルタントとしてお客さまの課題に寄り添ううち、世の中にあるサービスや製品では解決できない課題があることを実感する。エンジニアとしての経験から自ら開発することも考えたが、コンサルティング業との並行に苦戦していたところ、現CTOの白川さんと出会う。以来、お客さまの困ったを解決すべく、ハッピーコンピュータ―として日夜奔走している。
『moodmaker』のここがすごい②
やっかいな音圧の調整が不要
自分で音源を手配する場合は音圧の問題があります。同じ音量で流しているのに、音源によって急に大きく聞こえたり、小さく聞こえたりしませんか?これは音源によって音圧レベルがまちまちだからなんですね。
『moodmaker』は、「リアルタイム・ラウンドネス・マスタリング」という、主に世界各国のテレビ局などで使われている仕組みを使って、音を鳴らすときに、その場で原曲の音圧を判断して、人間の耳に聞こえる感じを賢く合わせるということをしています。
こんな小さな機械の中でそんなすごいことが!?
リアルタイムで音圧をコントロールするような機械って、放送局さんで使用しているものだと、幅は40~50cmあったり、重さも15kgくらいあって、値段は100万ぐらいしたりしますから...。店内のBGM放送サービスでここまでやってるのは、私たちぐらいじゃないかなと思いますね。
というすごい機械がレンタルなんですもんね。ほんとすごい。
白川 真澄|MASUMI SHIRAKAWA
大阪大学、大学院情報科学研究科の招聘准教授。もともとは大阪大学の教員で、研究をする毎日だったが、研究成果が活かされる現場=社会と直接触れ合うことは稀だった。共通の友人を介して平田さんと出会い、世の中に溢れるリアルな課題に触れ、自分の知識や開発が社会の役にたつ仕事に興味を持ち参画。研究職で培った広く深い知識を活かし、さまざまな分野での課題解決にむけ、開発を続けている。
『moodmaker』のここがすごい③
会話がしやすい魔法の機能
わざわざサービスを作るなら、今までいろんな施設さんからいただいたお悩みをぜんぶ解決したいなと思いまして、いろいろ入れちゃいました。笑。その一つがボリューム問題をクリアにするもの。これは特許を取得している「スムーストーク」という機能です。
そうそう、音量調整って難しいんですよね。
飲食店さんでBGMのボリュームを気持ちよくあげちゃうと、オーダーが通しにくいですよね。
WEB会議が聞こえないからボリュームさげてとか。
人間の声の周波数ってだいたい同じ音域なので、声の周波数のところだけ、音楽の魅力をできるだけ損なわないように"賢く"空けてあげるんですね。それが「スムーストーク」機能です。これはがんばって特許を取ってるので、これができるのはうちだけです。うちだけ!笑。
笑笑
この機能のオンオフの差を体験させていただいたんですが、ぜんぜん違いますよね。実際導入してみて、それまでより音量を上げているんですが、「さげて」といわれなくなりました。
それはもうよかったです!性能には限界がありまして、もちろん爆音にしたら台無しになるんですけど、同じ音量なら聞き取りやすい、ということは明確にいえます。
『moodmaker』のここがすごい④
スケジュール直感的にもさくさく
店舗さんだと、祝日だけとか、毎月この日だけBGMを変えたいとかありますよね。これを叶えるのがカレンダー機能です。『moodmaker』は、Googleカレンダーのように自由に予定が組めるんです。
今年からはじめたMOVのラジオ、施設内にどうやって流そうか悩んでいたんです。
お店でもオフィスでも、社員とかスタッフの声、みたいなコンテンツを流そうとすると、そういう仕組みはほんとにないですよね。それを、カレンダーに入れるみたいに直感的に、コンテンツを入れていけるんです。
ほんとにドラッグするだけですもんね。フレキシブル〜。
『moodmaker』のここがすごい⑤
一括管理できるから多店舗展開でも超便利
『moodmaker』は、複数台を一元管理できるんです。店舗が増えてくると、今度はチューナーやプレーヤーの設置・設定が大変ですよね。あるお客さんは月毎の音源をCDみたいなものに入れて、毎月、60店舗に郵送されてたんですよ。そこで「もう無理!なんかつくって!」といわれて。
手間とコストを考えたら白目むきそうです。
最初はノートパソコンなどを店舗に配置して、遠隔でコントロールしようとしたんですけど大掛かりで。それにパソコンやタブレットだと、止まったり落ちたりもします。音を流し続けながら安定して動かすとなると、専用の機械が要るよね、一回つくってみる?というのが、そもそもの開発のきっかけなんです。
たしかにタブレットはいつのまにか止まっていたり。
アップデートするので仕方ないんですよね。でも『moodmaker』はチューナーの中で必要なアップデートはしながら、機械自体は止まらない仕組みになってるんですよ。
マニアック〜。
これはめっちゃマニアックです。車でいうとエンジンが2個あるような状態なので。片方だけ更新して、終わったらもう片方みたいなことをやってます。
何度もいっちゃいますが、手のひらサイズなのに...!すごい...!
『moodmaker』のここがすごい⑥
こだわり派もおまかせ派も安心なプレイリスト
こだわって曲を選びたいという一方で、選んであるものの中からチョイスしたいというお客さまもたくさんいらっしゃいます。そこで僕たちはユニバーサルミュージックジャパンさんと提携して、豊富な楽曲の中からありものの放送にはないような、高品質なプレイリストをご用意しています。
それを選んでらっしゃるのも、白川さんなんですよね。
はい、ユニバーサルさんと一緒に。お客さんと一緒にお話ししながら、独自のプレイリストをつくることもあります。
ユニバーサルさんはレコード会社としておそらく世界で一番大きいので、お持ちの楽曲がほんとに多いんです。使える楽曲が豊富なので、音楽好きな担当の方とディスカッションしてても楽しくて。
週末と平日の午前中でモードを変えてくださったりして楽しいです。MOVでも何度かプレイリストをアップデートしていただきましたが、今後も?
はい、進化していきたいと思います。
放送局にもなれちゃう!
『moodmaker』は人と人を繋ぐツール
MOVのようなコワーキングスペースやオフィスでの、おすすめの使い方を教えてください!
実はMOVさんも取り組まれている、ラジオ放送なんです。コワーキングスペースって、いろんな組織のいろんな方が集まっていますよね。会社帰りの方、フリーランスの方、もしかしたら社長さんとか。
最近ではリモートワークが始まったことで、会社内のオフィスも似た状態になっていると思うんです。誰がどの席に座ってるかわからない。誰が出社してるかわからない。新入社員さんには会ったことがないとか。
実際にHRの方からは、人物紹介のプログラムや事業部の社内広報を流したいというお話もあったので、ぜひ試してみたいなと思っていた矢先に。MOVさんがメンバーさんにスポット当てたラジオを流したいとおっしゃってて、やられたなあと。
先どってしまいました 笑。
そういう風に使っていただきたいなっていう思いで差し込み機能とかをつくっていたので、僕はすごいありがたいです。
施設にきて誰とも繋がらずにいる人は、用が済んだらこなくなってしまったり、街を出ていってしまうこともあって。人の繋がりをどう増やしていくのか、スペースではなくコミュニティに対してエンゲージメントを高めていくにはどうするか。
これはおそらくコワーキングスペースさんだけでなく、オフィスや学校、組織と呼ばれるものに共通した課題で、だからこそ『moodmaker』でコミュニティに向けて発信されたいんだと思います。当初から目指していた「自分たちが放送局になれますよ」というコンセプトが、時代的に刺さってきている気がしているんです。みなさん人の繋がりにフォーカスされてきたのかなって思いましたね。
いいことですよね。
BGM困ってたんだよな!という方はぜひ、ハッピーコンピューターさんにお問合せしてみてくださいね。