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困ったらカレーに聞け!カレーの『社会を楽しくするチカラ』でビジネスをもっと楽しく。カレー細胞 松宏彰さんにインタビュー。

松さんがプロデュースする、カレーとインド料理好きの夢を叶える楽園「MASALAND」。「プロトタイプする暮らし」をコンセプトに、2023年9月にオープンした集合住宅『THE CAMPUS FLATS TOGOSHI』のオープニングイベントにて開催されました。
時短食にも、間食にも、晩酌にも、非常食にも、プレゼントや名刺入れにだっておすすめな、新しいレトルト『ポケットカレー』。その開発者であり、カレー細胞として知られるカレーマニアある松 宏彰(まつ ひろあき)さんにインタビュー!開発にいたるまでのお話をご紹介した前編に続き、後編では『カレーには社会を楽しくするチカラがある』という松さんの活動理念について伺っていきます。
渋谷界隈でお仕事されてる方には、おすすめのカレー店情報も◎ ぜひご覧ください。
不毛地帯から多様性溢れる街へ
渋谷のカレー最新事情

松さんはこれまで4000軒以上でカレーを食べてこられたんですよね。おすすめのお店が知りたいです!

おすすめといえば、僕8月に、Japanese Curry Festival in 渋谷っていうのをプロデュースさせていただいて。今年で3回目なんですけど、年々参加店が増えていて。今年は、渋谷区全体でお声がけしたスタンプラリーに、参加していただいたカレー店が60店舗!

カレー屋さん、そんなにあります?渋谷に...。

みなさんはいくつご存知でしたか?Japanese Curry Festival 2023のアーカイブより。

これね、僕もびっくりしたんですけど、渋谷区で区切ると、カレー店がめちゃくちゃたくさんあるんですよ。イメージあんまりないじゃないですか。

ないです、ないです。

15年ぐらい前まで、僕らは渋谷をカレー不毛地帯って呼んでて。『ムルギー』さんとか、『いんでいら』さんとか、昔からあるお店が強過ぎて、多様性に欠けているっていうのが、僕らの渋谷の見方だったんですけど。
最近は開いていることも多い渋谷のレジェンド『ムルギー』
— カレー細胞 (@hm_currycell) July 21, 2022
こんな凄いカレーを70年前から出してるんだから、流行り廃りなどあるわけがない。
改めて敬服。#渋谷カレー #カレーライス#カレー #curry #咖哩 pic.twitter.com/6GsAse2pWL
フォローすると、引くほどカレーの情報がながれてくるという、松さんのXより。
渋谷のカレーランキングでも上位を占めるムルギーさんのカレー。

コロナ前後から、他国の現地式料理店とか、間借りのカレー店とかが、びっくりするぐらい増えてきたんですよ。ただ「渋谷のカレーまとめ」みたいな記事もなければ、イベントもなかったんで。誰も、こんなにたくさんカレー屋があるっていう意識がないまま、コロナ期をずっと過ごしていて。

たしかに意識したことなかったかもしれません。

渋谷駅から歩ける範囲でも、スリランカ料理、パキスタン料理、マレーシア料理、それからもちろんタイ料理とかベトナム料理もあるし、南インド料理、北インド料理もありますし。インドネシアのカレー、アフリカのカレーもあります。ビリヤニが食べられる場所も3、4ヶ所あるし。スープカレーも、欧風カレーも進出してきてる。改めてまとめてみたら、すごい多様性があるんですよ。

ぜんぜん知らないだけですね。ランチの参考にしたい!情報どこかで見れますか?

Japanese Curry Festivalって検索していただけると、「渋谷のカレー」っていうコーナーがあって。そこに参加店リストがあるんですけど、こんなにあるんだってびっくりしますよ。カレーランチのガイドになると思いますし、順番に回っていけば2ヶ月はもつと思います。

いいですね!渋谷でお仕事されてるみなさん、ぜひお昼の参考にね。

あとね、MOVのメンバーさんの中で、来年一緒にJapanese Curry Festivalを盛り上げたいぞ、っていう方がもしいたら、お声がけいただければ。パートナー企業さま募集中です。笑
Japanese Curry Festival、オープニングイベントでクロストークにご出演されたみなさん。さまざまな業界の方がご参加されていました。松さんのInstagramより
世界が注目する、日本の伝統食 カレー!

実はいま、世界中から日本のカレーが注目されてるんですよ。去年、海外で発表された『世界の伝統食ランキング(Best Traditional Dishes in the World)』というのがあって、1位が日本のカレーだったんです。

へー!!そうなんだ!

っていうぐらい、いまカレーが熱い。世界で注目されているのに、日本からの発信はラーメン天ぷら寿司ばっかり!オリンピックもそうだし、クールジャパンなんていっておきながら、なんでカレーライスを発信せんねん!っと僕は思ってたんですよ。

たしかに、そうですね。

僕はそこに危機意識を持っていて。渋谷って日本文化のアイコンみたいな街だったりするので。渋谷から発信していきたいと思っているんですよ。

盛り上げていきたいですね。

そうなんです、志はものすごく高い。

ブラジルのお肉やポルトガルの貝料理を僅差で抑えての1位!これは盛り上げていかなくちゃ!Best Traditional Dishes in the Worldより。
カレーは日本の食文化をも救う

最近ほんとに飲食は大変ですよ。原材料が高い。あと交通費や宿泊費が高い。みなさん大変ですよ。これはみんなで考えなくちゃいけないと思ってて。

働き手となる方も少ないって聞きます。

そうそう。やっぱりイベントやったり、お店やったりするとき一番いわれるのは、どこのお店も厨房の人手が足りないってこと。それはやっぱり、経済がうまく回ってないってことだと思うんですよね。

そうですね。

要は、原価はあがってるけど、お客のお財布はそれほど豊かになってもいないから、値上げにも限界があることが多くて。これは構造的な問題で、それこそMOVにあつまるメンバーで知恵を絞りながら考えなければいけない課題のような気がしていて。
日本の食文化、やばい感じになってるんです。例えば、カレーライスの半分は米じゃないですか。僕、ショックだったのはね、最近は米をやめて、麦に切り替える農家がけっこう増えてるって聞いていて。

えーーー!それは知らなかったです。

そうなっちゃうと、日本の食文化の根っこがくずれるんじゃないかと思っていて。まあ、麦の方がよく育つし、経済効率がいいわけですよ。

でも、お米は...なんていうか日本の代表みたいな感じがします。

米はね、育てるのもなかなか大変だから。国の保護を受けながらなんとかやってきた、っていう歴史があるけどね。いまはそういうのもどんどん無くなってきてる。いろんなところで、食文化を考え直さなければあかんぞというようなことが、食に関わる仕事をやっていると、ちょいちょい耳にはいっていて。

うんうん。

カレーはどんな食とも合うじゃないですか。米もそうだし、パンと合わせればカレーパン、うどんならカレーうどんにもなる。具材も、魚から肉から、ベジ、なんなら昆虫とかホルモンだって、なんだってカレーにできちゃうんですよ。だからカレーを使って、いろんな問題を解決していきたいなって思っているんです。

日本にインドをつくるをビジョンとしている「MASALAND」は、東京マサラ部が主催。こちらも松さんが手がけるコンテンツの一つです。『THE CAMPUS FLATS TOGOSHI』オープニングイベントより
好きからはじまる、楽しくて幸せな課題解決

広告とか映像の仕事に比べたら、カレーってすごく小さい世界のように見えるんだけど、いやいやそうじゃないんですよ、と。世界中の料理の中では、スパイスを使ってない料理の方が珍しいし、カレーというわかりやすいワードの奥にある宇宙はね、実はものすごく広いんです。僕は、カレーに解決できない社会課題はないって思っているんですよね。

おお。壮大ですね。

フードロスの課題解決とか、防災備蓄とかも、もちろんそうなんだけど。大人も子どもも、ほぼみんなカレーが好きだけど、大人が好きなカレーと子どもが好きなカレーはもちろん違う。でもみんな、「俺も好き」「私もカレー好き」って仲良くなっちゃう。頭の中に浮かんでるカレーはみんなバラバラなのに。

うんうん。

その感じがいいなと思っていて。好きから始まるコミュニケーションっていうんですか?これって、広告ではなかなかないんですよ。

そうなんだ。

カレーが好き!その気持ちで、さまざまな視点からイベントを盛り上げるみなさん。この日もとっても盛況だったそうです。『THE CAMPUS FLATS TOGOSHI』オープニングイベントより

広告って、好きでも嫌いでもない。なんなら嫌いなものをどう好きになってもらうか、ということに、知恵と時間とお金を費やすお仕事なんです。それはそれで大事なんですけど。広告ってワードを全部カレーに置き換えると、スタートラインで好きから始めることができるので、考えるのが楽しくなるってことに、あるとき気づいたんですよ。

すごい!そうか、大きいですね。みんな、"好き"っていうことは一緒だから。

みんな好きっていってるのに、思い浮かべるカレーは別々。でもそれでいいじゃないかっていう話で。カレーっていう食べものの定義を擦り合わせていないから、みんなちゃんとはわかってないのに、好きということだけがわかっていて。こんな存在って他になんかあります?

たしかに、ほんとそうですね。

定義が曖昧で、ゆるくて、ただなんとなくそこに幸せ感だけがあるっていうのが、僕のカレーに対する捉え方で。

うんうん。なんかすごくほっこりします。

みんなが好きで、みんなが仲良くなれて、みんなが幸せになれるツールがあるんだったら、それでみんなで社会課題を解決できるよな、と思っていて。それを日々、個人的にやっている感じです。

カレーがテーマのボードゲーム?『THE CAMPUS FLATS TOGOSHI』オープニングイベントより
困ったらカレーに聞け!次なる展望は、ビジネス×カレー

では、今後の展望について教えてください。

いろいろ考えてはいます。できる・できないは別として、いろんな人にいうことにしてます。いろんな問題があるし、海外とのつながりもカレーでうまくいくことがあるかもしれない。ジビエとか、害獣問題とかも。害獣っていわれたらなんか嫌に思われるけど、カレーにしちゃえばなんでもおいしいんで。笑

笑笑 おいしいって大事ですもんね。

そういうシンプルな解決方法でいいんじゃないかと思っていて。害獣が増えたんじゃなくて、カレーの具材が増えたと思えば。みんな「わーい!」って感じになるんじゃないかな〜。

ほんとだ。幸せだ。

カレーに置き換えると、みんな幸せな解決方法がみつかるっていう考え方で、一緒にやってみようって方が増えたらいいな、と。「これカレーで解決できるんじゃないか?」って、1回考えてみてもらえたら。

そうですね!ビジネス×カレー!

そうそう。ビジネスで行き詰まった時に、ふとカレーがよぎったら、ぜひ僕に声をかけてもらえたら嬉しいです。

いいですね。

実現にかかるお金だったり時間だったりはバラバラだと思うけど。アイディアレベルだったら、カレーで解決策を出せますよ、いろんなこと、だいたいできると思うんです。宇宙でも、戦争でも、なんでもいいですから。とりあえず困ったらカレーに聞いてみてください。

想像するの楽しくなりそうです!そうか、これがカレーの社会を楽しくするチカラなんですね。

コーポレイトサイトのトップにあるメッセージ。カレーでピンときたらぜひ、松さんにご連絡ください。
『カレーには社会を楽しくするチカラがある』。そう考えるだけで確かにワクワクしてきませんか?松さんのことが気になってきたみなさん、カレー情報もイベント情報も、各種SNSで発信されていますので、ぜひチェックしてみてください。X:カレー細胞
Instagram:Hiroaki Matsu /カレー細胞
Facebook:カレー細胞 The Curry Cell