announcements interviews MOV
Channel
post small_talk

死後100年後の社会を変えるビジネスを創りたい 
ー株式会社JOYCLE 小柳裕太郎さんにインタビュー!後編

joycle_thumb_2.jpg

登龍モヴ2024』優勝者の 株式会社JOYCLEの小柳 裕太郎(こやなぎ ゆうたろう)さんにインタビュー!

ごみを運ばず、燃やさず、資源に変える、分散型アップサイクルプラントの普及に取り組む小柳さん。前編では、事業の概要について伺いました。後編は、さまざまな素材のアップサイクル・プロジェクトに取り組む一般社団法人530(ごみゼロ)の中村元気くんが、仕事柄気になったあれこれについて伺っていきます。

小柳さんが思い描く、死後100年後の社会を変えるビジネスとは? joycle_thumbnail.jpg

事業の概要を伺った前編はこちら!

業界全体の認識をすり合わせていくために

中村元気
MOVげんき

実際、どんなプラントでどんな素材が生み出されているんですか?

小柳さん
小柳さん

例えばおむつごみの処理プラントは、初めに電気加熱すると熱循環が起きて、ごみから出るガスや蒸気がぐるぐるまわり、ずっと加熱しなくても、効率よく高温を維持することができるものです。おむつはセラミック炭という土壌改良剤や、セメント原料などになります。

同じような仕組みのプラントがいくつかありますが、そこには特にこだわりはありません。ごみの種類・量や使い勝手だったり、事業者さんの状況に応じて、さまざまなプラントの中からベストなものを提案できることが重要だと思っています。そうすることで客観的に評価することができるかなと。

中村元気
MOVげんき

プラントメーカーさんていっぱいありますもんね。どれがいいのか、判断も難しい。

小柳さん
小柳さん

そうなんですよ。メーカーさんは自社の装置が一番だとどうしてもおっしゃいますし、お勧めされる自治体や企業側も、他をご存じなかったり。さまざまなプラントについての知見が集合知化されたような機関が、いまは全くない状況です。足でかせぎにいかないと取れない情報なので、きっと僕らの知見を欲しい方は今後たくさん増えてくるはずなんですよね。

せっかくなら集めたデータを皆さんの喜びになるようにシェアしたい。そこで、企業さん、大学、自治体さんなどを巻き込んで、分散型アップサイクルプラントのコンソーシアムを作りたいと考えています。プラントの許認可に関する認識ですとか、カーボンクレジットが実際に持つインパクトとかいった勉強会を開催したり。本当にいいメーカーさんほど入りたくなるようなコンソーシアムにしていきたいんです。

中村元気
MOVげんき

いいですね!なかでも特に「これおもしろい!」と思ったものはありますか?

小柳さん
小柳さん

ユニークなものだと、産廃物としては処理が難しいキノコの廃菌床を扱うものがあります。開発してるのは、株式会社TOMUSHI(トムシ)さんというスタートアップで、廃菌床を食べてもらうために品種改良したカブトムシの育成コンテナを販売しているんです。キノコ農家さんは成長したカブトムシをペットや製品原料として販売できる。

カブトムシ1匹が廃菌床を食べて育つプロセスの中で4キロくらいCO2を削減できるらしいんですけど、正確なデータは取れていないので、そういったところもJOYCLEで実証実験できたらなと。

tomushisan.jpg

株式会社TOMUSHI(株トムシ)さん、略して株トムシさん!のWEBサイトより。カブトムシの量産化は世界初の試みだそう。

ごみ業界の過渡期にJOYCLEがやるべきこと

中村元気
MOVげんき

都市部での一般ごみの処理は、ライセンスや許認可がきっちり管理されていると思うんですが、その辺はどう攻略していくんですか?

小柳さん
小柳さん

一般廃棄物の処理については、基本的に新規ライセンスはほぼ取れません。JOYCLE SHAREを使った処理は、ライセンスが必要なエリアど真ん中になってくるので、既存の一般廃棄物業者さんを巻き込んで、ディスカッションしていく必要がありますね。

プラントを使用するための許認可は自治体で取るんですが、シェアするとなると「一般廃棄物処理業者として、移動させながら使用してもよい」という状態がベストです。そこは環境省とか自治体マターになってくるので、どうアプローチするかなんですけど。

中村元気
MOVげんき

そうですよね、けっこう難しい部分もありますよね。

小柳さん
小柳さん

まずはグレーゾーン解消制度や規制のサンドボックス制度などを使って、自治体や一般廃棄物業者さんとしてもやらない理由はないくらいの良い結果につながる事例を作っていきたいですね。ライドシェアができるのであれば、ごみ資源化の分野も同じように必要=規制緩和すべきという材料になり得ると思っています。

中村元気
MOVげんき

先日、渋谷区のイベントで、引退したごみ収集車が展示してあって、そこにいた清掃員さんと少し話したんですが、ごみ収集車は毎日 約150トンの燃えるごみを集めていて、稼働してるのは30〜40台くらいだそうなんです。さらに停車していても、荷箱はずっと油圧でごみを圧縮してるので、車両の寿命は5年くらいなんですって。

小柳さん
小柳さん

おもしろいですね!車両が使用するエネルギーのデータをとれば、JOYCLE SHAREとの差分がめちゃくちゃ出るはずですよね。

joycle_insert_futari.jpg

アプローチは違っても、それぞれ真摯にごみと向き合っているお二人。話は尽きません。

中村元気
MOVげんき

1車両1千万円くらいするそうなので、例えば30〜40台を10年以内に入れ替えるには4億円かかるわけじゃないですか。そう考えると、動きながら焼却処理していくJOYCLE SHAREの実現可能性があがってきそうだなと。それに、必ず買わなきゃいけないもの=車両側を先に開発してしまうというのもアリなのかなってちょっと思いました。

小柳さん
小柳さん

なるほど〜。多分そこを企画したことのあるプレイヤーはまだ誰もいないですよね。僕らもいま、どういう形で移動させるのがいいか考えていて。そこはちょっと実証実験して、比較してみたいっていうのはありますね。

中村元気
MOVげんき

焼却炉も古いものはメンテナンスしながら使っていく時期にあって、最新式に建て替えるなら費用はいくら?みたいな話にもなりますもんね。

小柳さん
小柳さん

ほんとそうなんですよ。15年を超えるとそろそろ危ないんですが、更新するとなると何十億、何百億円かかります。やっぱり聞けば聞くほど、この事業をやるべきなんだろうなって、確信めいてきているところがありますね。

toryumov2024_repo_winner3.jpg

『登龍モヴ2024』受賞コメント中の小柳さん。プレゼンにもその確信が溢れていました。

100年後にごみという概念がなくなる社会

中村元気
MOVげんき

日本は割と、しっかりごみを分別して素材を単一化することでマテリアルリサイクルにつなげるのが主流だったと思うんですが、分別に関してはどうお考えですか?

小柳さん
小柳さん

分別は絶対したほうがいいです。分別ができてる場合と、できてない東南アジアや無人島などの場合と、いろんな方程式があるはずです。プラントとごみの組み合わせを、データも使いながら一覧にできるようになると、分別しなくていいという誤解も生まれにくいと思います。

いちばん悔しいのは、分別が中途半端であるが故、燃えにくいごみなどを燃やす為に、結局はプラスチックなどの助燃材の役割を果たせるごみと一緒に、エネルギーも活用せずにただただ燃やさざるをえない場合です。ちゃんと分別されていれば、こう資源化される、こう還元されるというサプライチェーンのストーリーを、捨てる側にも見せていけると、より分別も進むと思っています。

中村元気
MOVげんき

僕の仕事は、単一の素材をなるべくそのまま使った商品企画が多いんですね。素材のなかには、出す側にとっては不用品だけど、実はめちゃくちゃ高価なものもあったりします。お話を伺っていて、例えばJOYCLEのシステムを使って、資源に変える前にそういったユニークな素材の情報を、量データと一緒にキャッチできたらおもしろいなと思いました。

小柳さん
小柳さん

そうですよね!JOYCLEを導入してくれた企業さんの購買データや、マテリアルデータの紐づけができれば、あり得る話だと思います。データを使って、コストやパターンやレシピをたくさん想定しておければ、中村さんのいうような事例もぐっと増えるんじゃないかなと思いますね。

newsproject.webp

元気くんが展開している N.E.W.S Project。"東西南北、日本中の生産者の思いのつまった食材をその時々に最適な加工品の形に変えることで、楽しみながら、現代における"食"のあり方を探究するフードプロジェクト"です。(プレスリリースより引用)

中村元気
MOVげんき

導入した企業としても、ごみだと思ってたものがどんどん利益になって、捨てるものがない状態になるのがいちばん嬉しいですよね。

小柳さん
小柳さん

以前、ごみをアートに変えるクリエイターの方が、そのうちごみという概念がなくなる未来がきっとくるんだろうねっておっしゃってて、僕も共感したんです。そういう過渡期の、おもしろい時期に起業できて幸せだなと思いますね。

中村元気
MOVげんき

資料に「死後100年後の社会が変わるビジネスを創る」って書いていらっしゃったんですけど、まさにですね。ごみという概念がなくなる。そんな未来にJOYCLEはどんな形になっていそうですか?

小柳さん
小柳さん

将来的には、JOYCLE SHAREのコンテナにアートを描きたいと思っているんですよね。コンテナそれぞれは固有名詞化されて、プラントのパフォーマンスと比例してアートの価値が上がっていく。引退したコンテナはアート作品になったり。

一見アートのようで、実はデータを取得してサーキュラーエコノミーも促進してる、という世界観を、離島から世界中に広めていきたいですね。新興国エリアでごみで生計を立てている方に経済インセンティブをだしていくことも、このジャンルだったらできそうだと思っていますので、今後はBOPビジネスにも入っていけたらと思います。




インタビューの最後に、「JOYCLEはジョイとサイクルをかけ合わせているんですが、あらためてこの名前にしてよかったなと思っているんです。さまざまな種類のJOYを循環していきたいと思っています。」とお話しされていた小柳さん。

カーボンクレジットの意味を検索するくらい知識のなかった筆者ですが、ごみ業界が抱えている課題の深刻さや、小柳さんが実現しようとしている、みんなが笑顔になれそうな世界観を知り、これはなくてはならないと共感しました。今後の展開にも、ぜひご注目ださい!